プロローグ

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 都会から離れた場所に深い森に囲まれたある小さな村があった。  小さいながらに皆生き生きと働き活気に満ちており、畑を耕したり、仕事先に行くために急ぐ人などで溢れている。  そんな村のはずれにある一階建ての質素な一軒の家に住む家族も静かに変わらぬ一日を過ごすはずだったのに。  異変が訪れたのは太陽が鮮やかに赤く染まった夕暮れ時だった。  家族三人が談笑しながら夕御飯の用意をしている時に来訪者が現れた。  元々この家に訪ねて来る人はいなかったためかなり珍しい。  なぜ来訪者が珍しいのかと言うと、この世界で不幸や災いの象徴とされている黒髪赤目の子供がいるため、村人から避けられているからだ。  田舎の町ともなるとその風潮は特に根強い。  木の扉の乾いた軽いノック音が響き、母親は不思議に思いながらも料理を中断して返事をしながら急ぎ足で玄関へと向かった。 そして悲劇は始まった。
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