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いつもの様に扉を開けて顔を上げると目の前には銀色の鎧を着た人物が立っていた。
「っ!?……かはっ!!」
驚きで目を見開いていると次の瞬間、下腹部に鈍く重い衝撃が響いた。
遅れて激しい痛みと焼け付く様な熱が走る。
口からせり上がってきた血を吐き、目線を下へ向けると自身の下腹部に深々と刺さった鈍く光る剣と次々と流れだす紅。
剣を勢い良く引き抜かれた母親は更に血を溢れだしながら遠くなる意識の中、前のめりに受け身もとれずに倒れた。
鎧は全くの無感動に見つめた後、家の中へと入って行く。
すると後ろにはもう一人同じ様な鎧を着た人物がいて気を失った虫の息の母親の心臓めがけて剣を振り下ろし、止めを刺した。
鎧達が奥へと進もうと鎧同士の擦れあう耳障りな音を鳴らしながら廊下を歩きだしたが、異変に気付いた父親がリビングから飛び出して来た。
そのドアからはとても不安そうな表情で顔を出す黒髪赤目の小さな男の子がいる。
「なっ!?……お前らは何者だ。俺の妻に何をしたっ!!」
「…………。」
父親はすぐに鎧の手に持っている真新しい血がベッタリ付いた剣を視界に捉えると、その後方に血溜まりの中に倒れ、ピクリとも動かない妻を見つけて血相を変えて怒鳴りつけた。
が、鎧は全くの無言で返す。まるで返事を返すのが馬鹿らしとでも言うみたいに。
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