9人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてふと思いだした様に鎧は剣をかまえて父親へ向かい突っ込んで来る。
父親はそれに反応したものの丸腰だ。
周りを見ると偶然壁に立て掛けてあったほうきが目に入りそれで応戦しようとした。
しかしほうきの柄は木で出来ていたため剣を受け止められる訳もなく、最初の一太刀で無造作に叩き切られる。
その後も紙一重で剣を避け続けながら何か手がないかと模索しながら十分以上粘る。
だが為す術なく左肩から右のわき腹にかけて深く切り裂かれ、血を吹き出しながら鈍い音をたて倒れた。
家の中には血の鉄臭い匂いが充満し、目の前で起こった出来事を理解出来ていない男の子は目を丸くして放心してしまっていた。
すると鎧の二人は両親を殺した事で気が緩んだのだろう。
なにせ残っているのは何も出来ないであろう小さな子供だけ。
「はっ!簡単じゃねぇか。問題の子供も放心しちまってるし。」
「だな。村人の奴らも何でこんなのを恐れてるんだか……。」
「依頼の金がいいから、かなりの儲けだな。」
「違いない。」
男の子の止めも刺さずに談笑を始めた。
話の内容から察するに鎧の二人は村人に子供の暗殺を依頼されたらしい。
それも高額で。
その間に止まっていた子供の思考は静かに動き始める。
最初のコメントを投稿しよう!