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「起きたかよ」
尋ねる高杉に、パチパチと瞬きを数回繰り返すと、土方の顔はカーッと真っ赤に染まる。
「夢じゃねェ」
「あ?何が」
「今の忘れろっ」
「は?」
「忘れろ、全部!いいな」
真っ赤な顔でそんなことを言う土方に、高杉が気づく。
「何だテメー、今の起きてたのか」
「起きてたっていうか、あれはっ、夢だって思ってたから・・・っ!あ、いや、違う!起きてないからっ!」
土方は布団を頭から引っかぶって隠れてしまった。
高杉はそんな土方ににやにやと笑って、声をかける。
「ホントは仕事なんてサボっちまって俺といたいって?」
「違うっ!」
「遠慮しなくていいんだぜ?俺といてェなら、いたらいいさ」
「違うって」
「いい。俺も、テメーといたいからよ?」
高杉が布団を剥がすと、背中を向けた土方に笑み、そうしてゆっくりと近づいて耳元に唇を寄せる。
「行くなって言ったらお前、ここにいんのか?」
「・・・だから、忘れろって言ってんだろ・・・っ」
「忘れねェよ」
「忘れろ」
「嫌だ」
「お前、意地悪ィぞ」
「ああ、そうかもな?」
「そうかもじゃなくてそうなんだよ!」
恥ずかしいのか土方は高杉の方には向かず、どうにか高杉から遠ざかろうとしている。が、それに気づいている高杉は土方の肩を掴み仰向けると、布団へと押し付けて上から見下ろした。
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