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目が醒めると、臨也は自分がどこか全く知らない場所にいることを知った。背中が痛い。臨也は起き上がり、周りを見渡した。四方をコンクリートの壁に囲まれた部屋で、壁と床の他に何もなかった。一体ここがどこなのか、どうして自分がここにいるのかわからず、臨也は眉を寄せた。
自分の面倒を見てくれた『シズちゃん』の姿を探すが、見つからない。自分は独りぼっちなのかと思うと、心細くなった。
と、背後からこつんこつんと複数の足音が響き、はっと振り向くと、そこに三人の大人がいた。黒いスーツを着た男たちがこちらを見下ろしていて、臨也は身を固くした。
「目が醒めたかね、臨也くん」
なぜ自分の名前を知っているのかわからずただ頷くと、大人たちのうち、眼鏡をかけた男が話し始めた。
「久しぶりですね。と言っても今のあなたにはわからないでしょうが。大人のあなたにはずいぶんと世話になりましたよ」
臨也は実際、わけがわからないまま男の話を聞いていた。
「正直意外でしたよ。あなたがこんなに容易く罠にかかってくれるとはね。ネブラ内に協力者がいてくれて助かりました」
男はそう言って満足げに笑った。
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