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上司から貰ったたまの休みを部屋でゆっくり過ごそうという計画は、誰かの訪問を告げるインターホンの音で邪魔された。
無視してやろうかと思ったがトムさんかもしれないと思い直して一応返事し、起き上がってドアを開ける。ドアの向こうにいたのは同級生の闇医者。
「あ、静雄。よかった家にいたんだね」
にこりと笑う新羅の傍らに目を移す。小さな男の子がこちらを見上げていた。
「今日仕事は休みかい」
「ああ」
「そっか、それはちょうどよかった」
わざとらしくぽん、と手を合わせて言う新羅に、俺は嫌な予感がした。
「何がだ」
新羅は視線を下ろし、子供の頭に手をぽんと載せた。「実はね、ちょっとこの子を預かって欲しくて」
「は?」
俺は眉を寄せ、詳しい説明を求めようと口を開いたがそれより早く、新羅が子供に話しかけた。
「今日はこのお兄ちゃんに遊んでもらうからね」
こくりと頷いた子供が俺を見上げる。真っ黒い髪と赤い瞳に、既視感を覚えた。子供は、にこりと笑い、言った。
「初めまして。僕は折原臨也です」
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