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「原因は新羅か」 「そうだ」 さすがに長い付き合いだけあって話が早いな、と思いながら、静雄は頷いた。 「元に戻るのか」 「時間が経てばな」 静雄の返答に、門田は安心したように、そうか、と頷く。あの男を心配できるのだから、人の良い男だ。 (まああいつもこいつになついてるからな) 高校時代から、全人類が好きだと公言していた臨也が珍しく特別に好意を持って接していたのが門田だった。そんな彼を突き放せなかったのだろう。臨也と嫌悪感なく付き合う人間は少数だ。 そんなことを考えながら、静雄は視線を移す。 静雄と門田は店を出たところで話をしている。 狩沢たちは用事があるとかでどこかへ去った。 一人になった臨也は、塀の上に座り、通りを行き交う人々を飽きもせず眺めている。高いところと人間観察が好きなのはこの頃からか。まだそこにいることを確かめたところで門田が笑った。 「なんだかんだで面倒見るんだなお前は」 揶揄するような口調と言葉に、静雄は顔をしかめた。「うるせえな、ほっとけ」強制的にとはいえ、一度頼まれた以上は蔑ろにできないのが静雄だった。と、不意に門田が顔色を変えた。がしりと肩を掴まれ、静雄が眉を寄せた瞬間、タイヤがコンクリートを擦る音が響いた。振り向いた静雄の目に飛び込んできたのは、急発進するワゴン車と、誰もいない塀だった。
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