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「あいつら、何者だ」
「さあな」
聞かれて、門田は肩を竦めた。
「臨也ならわかったかもしれないが」
「初めから臨也が狙いなんじゃねえか?」
「まあ、あり得る…というかその可能性の方が高いな。それで」
と門田は冷静にたずねた。「助けるのか?」
門田の問いに静雄は顔をしかめた。
臨也を拐った連中が何者であっても、彼らに善意など微塵も存在しないことは確かだ。だが、静雄の天敵であり、一方的に歪んだ持論を振り回し簡単に他人を絶望に突き落とし、それを指差して嘲笑う、そんな最低の男だ。臨也を連れ去った奴らが殺すなりすれば、池袋がどんなに平和になるかわからない。むしろそうするべきかもしれない。そう考えながらも、静雄は携帯を取り出して新羅の電話番号を呼び出した。
普段の臨也なら放っておくが、今は非力な子供だ。
そう、自ら言い聞かせながら、通話ボタンを押す。数秒間呼び出し音が鳴った後、もしもし、という明るい声が耳に飛び込んできた。
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