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「時間的にはもう大丈夫だな」
学校に到着して、下駄箱で携帯の時計を確認しながら上履きに履き替える。
これなら先生にも会わなくて済むな。
「ねぇ、透?」
「うん? どうかした?」
「アッチから先生が近づいて来てるんだけど、もしかして怒られちゃうのかな?」
「えっ‥‥‥本当だ」
先生に会わないように時間を余計に潰したのに、まさかアッチから来てしまうなんて。
全ての計画が水の泡だよ。
「渋谷、代々木。遅刻した理由はなんだ?」
俺達の前に立った先生が相変わらずのブリザードボイスで尋ねてくる。
うぅ、この声を聞くと萎縮しちゃうよ。
「あのですね。透の朝ご飯が出来上がるのが遅くてですね」
「はぁ? なに言ってんだよ。俺はただ丁寧に作ってただけなんだけど。大体、涼芽が準備が終わらないから、食べる時間が遅くなったんじゃんか」
全く、そんなに文句言うなら涼芽が作ればいいのに。
こんな風に文句を言われたら、カチンと来ちゃうよ。
「ふん。うるさいわね。なら遅刻しないように朝早く起こしてよ」
「知らないよ。大体昨日は疲れはててたんだよ」
「ちょっと待て。一つ聞きたい事がある」
俺と涼芽の口論を先生が一旦止める。
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