氷点下のプリンセス

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「とにかく、失礼します」 ここまで先生が言ったんだ。 素直に教室からおいとまする事にしよう。 先生の気持ちが変わらないうちに、涼芽の手を引っ張って教室を後にする。 無言で下駄箱まで歩いてようやくひと安心。 「透ってば意外に大胆なんだ」 「はぁ? なんの事?」 いきなり過ぎる涼芽の言葉。 なにを言ってるのか皆目見当もつかない。 「こんなに情熱的に手を握ってくるなんて‥‥‥きゃっ!もしかしてこのままホテルに直行? うふふ」 「ばっ!なに言ってるんだよ」 自分が涼芽の手を握ってる事に気がついて、慌てて手を離す。 今となれば、なんて大胆な‥‥‥ 「なーんだ。このまま熱いメイクラブかな、って期待しちゃったのに」 「女の子がメイクラブとか言わないの。ほら、帰ろうか」 早く帰らないとまた梨里さんの機嫌が悪くなるかもだし。
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