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ぼんやりとカフェのカウンターで外を眺めていると、突然、大きな音を立てて横にマキナが座った。
私は、驚いてマキナの方に振り向く。
「ごめん、おまたせ」
マキナはそう言って、にっこりと笑った。
全然、ごめんっていう表情じゃない。
私はつい、口を尖らせて文句を言った。
「すっごく待った」
その生意気な物言いに、私は自分自身にがっかりしてしまう。
どうして、マキナの前では可愛く振舞えないんだろう。
また呆れたような顔をされるんだろうな、と、私は恐る恐るマキナの表情に目を向けた。
マキナは、変わらず穏やかな笑顔を浮かべていた。
あれ、おかしいなと、ぱちくりと瞬きを繰り返す。
マキナは私の顔を覗き込むようにして、目の高さを合わせてくる。
顔が近くて、困る。
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