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「なんで、ありがとうなの? 私何もしてないよ」
「ううん、ありがとうだよ、雪菜」
そう言って笑う私を眩しそうに見つめ、雪菜はぽつりと呟いた。
「私こそ、ありがとうアキ」
雪菜の瞳が、少し濡れているような気がした。
その瞳を、私は探るように見返す。
「なんで雪菜がありがとう、なの?」
雪菜は、束の間迷ったように目を泳がせた後、なんでもない、とちいさく言った。
「何、それ」
雪菜と私は視線を合わせ、そして同時に吹き出した。
-end-
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