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ずっと友達で、いや、友達というよりも、ずっと犬猿の仲だったから。
それで付き合い始めた後、二人の関係をどう進めていけばいいものなのか、正直全然分からない。
「そんなの適当で大丈夫だって」
親友の雪菜は、そんな風に言って笑いながら、煎餅に手を伸ばした。
雪菜の部屋。彼女はこたつにもたれ掛かるようにして伏せている私に、余裕のある視線を落としてくる。
「大丈夫じゃないから聞いてるの」
「どう大丈夫じゃないの?」
「どうっていうか‥‥」
私はゆっくりと瞬きを繰り返しながら、溜息とともに苦々しい声を溢した。
「今までと変わらなくて、焦ってる」
雪菜の、煎餅をかじるバリバリという音が、滑稽にも私の耳をくすぐった。
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