苺一つと恋心

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さっきとは違う真顔だからついドキッとしてしまう。 顔が自然と赤くなっていく。 「あの……。 離して…下さい…。」 「ん?えー、もうちょっとだけ、ね?」 さっきは怖かった笑顔。 だけど今はなぜか安心している。 「………。ここのお店の人なんですか?」 「ん~?あっ、そこのベンチに座って」 ベンチに誘導されてイケメン眠り王子の隣に座る。 自然とドキドキする。 ………。なんで? 「で、俺がここの店員かって?」 「あっ、はい」                何歳だろー。 同い年?や、それはないか。 年上かな~? 雰囲気的に? いや、意外にも年下かも……! ………。や、やっぱないな。 ありえん。 「俺はシェフ?いやパティシエ、だな。 料理をやってるよ。 さっきあんたが食べた苺もそこで育ててて、今からケーキ作ろうかな~って思ってたやつ。」 指を指す方を見ると緑が鮮やかな小さい畑が一つ。さっきはあまり気にしてなかったけど苺畑だったんだ。 「わぁ、ほんとですね。 あっ、あと私は 阿沢 魅夜 [アザワ ミヤ] です。」 「阿沢魅夜? 魅夜……か。 俺は 木宮 香哉 [キミヤ コウヤ] ん~まぁよろしく?」 「はいっ……て、あぁ──!! あの私、中で友達を待たせてるんです。 だから私戻りますね。」 ヤバい。もうケーキきてないかな? それも香哉さんが作ってるのかな?  
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