苺一つと恋心

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「惚れさせてあげる。」 その一言で私の心臓は ドクンッと胸を打つ。 「わっ、私戻りますね………」 絶対顔は赤かった。 でも香哉さんから離れたかった。 このドキドキを止めたくて、 この赤い顔を見られたくなくて 「……………。」 香哉さんからの返事はなかった。恥ずかしくて顔は見れなかった。 香哉さんは悲しんでた? 喜んでた? 寂しそうにしてた? 考えてもわかんない。 胸はまだドキドキ言ってる。 心地よいともいえない、しかし心地悪いと言うと嘘になる。 とても複雑な気持ち。 カランカラン 扉を開けて智乃のいる席へ戻る。 今度はいらっしゃいませと言う声は聞こえなかった。 やっぱりついさっき来ていたから顔を覚えていたのだろう。 連れも置いていってるし。 カタン 「ごめんね。遅くなっちゃった」 「もう本当だよ! どこまで行ってたの? ケーキ食べないで待ってたんだから! ほら、食べよ?」 「うん」 少し、元気でないかも。  
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