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慧は私を見つけるや否やすぐにコテーと私に体を預け、ギュウっと抱きついてきた。
ハァ……。
「慧、今日は帰ろうか?熱あるんでしょ、ほらちゃんと立て。」
「うー、ヤだ。ダメ。でも帰る…」
どっちだよ。
慧は熱がでると甘えたがる癖がある。
まぁ、理由は簡単なんだけど。
慧の親は共働きで、小さい頃、すぐ熱をだしてしまっていた慧は親に看病してもらうことが少なかった。そのため、熱をだしているときは小さい頃、甘えられなかった分だけ甘えるかのように、すごく甘えてくるのだ。
簡単に言ってしまえば、“トラウマ”みたいなものだろう。
今では昔に比べて熱をだすことは、ほとんどなくなり、甘える回数が減ったのはありがたいんだけど、熱を出したら小さい頃 以上に甘えてくるので、困る。
しかも大人には頼らない…という実に迷惑極まりないやつだ。 まぁ、可愛いんだけど……。
「帰りたいならちゃんと立ちなさい。ほら……って重い…」
「うるさいぃ─…。帰るぞぉ─…」
酔っぱらいみたいだ…。
慧は自分で立って歩いてる。まぁ、ヨロヨロしてるけど…。
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