刺激の無い退屈な日

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「どうしてこの世界はこんなにもつまらないんだ? 宇宙人の一人でも出てくればいいんだ!」  今は昼時を少し過ぎたぐらいなので本来なら学校にいる時間だが、今日は日曜日、つまり休日だ。 季節は秋。少し肌寒く感じる時季だ。そんな中、彼は都会の街を歩く。  行き先は特には決めていない。  若者は思っている。刺激というのは一ヶ所に留まるのではなくひたすら移動している。だから特定の場所に向かうよりも色んなところを回っていた方が可能性が高い、と。  高校に入学してから今までに、何回何十回と歩き回った。しかし刺激的なことが起きたことは一度たりともなかった。  だが、彼はめげない。諦めない。諦めてしまえば永遠に刺激的なことが起きないと分かっているから。  歩き回っているうちにある森林公園に着いた。  中ではジョギングをする若い女の人や犬の散歩をするおじさんや元気に走り回る小さい子供たちなどが目に写った。  若者は森林公園の前で大きく伸びをする。  火照った体を涼しい風が冷やす。  若者は一度大きく深呼吸してから森林公園に足を踏み入れた。
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