刺激の無い退屈な日

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 森林公園に足を踏み入れると、気温が二度くらい下がった気がするほど冷え込んでいた。まぁ今の彼には丁度いい温度ではあった。  隣を横切る散歩中のお爺さんに軽く会釈しながら辺りを見回す。  赤いタイルで作られた横幅十メートル程の歩道に沿うように木が植えられていて、今は赤や黄色に葉の色を変え始めている。  さらに木々の向こう側には人工的に芝生が植えられていてやんちゃ盛りの子供たちが走り回っている。  普通の人ならその光景を見て、喉かだな、と少し微笑んだりするだろうが、若者はそれを見ながら、変わらねぇな、と少し気を落とした。彼にとってこの光景は見慣れたものであり、彼の求めている光景とはかけ離れているのである。  どれだけ歩いただろうか。日も傾き始め、歩き出したときは頭一個分ぐらいだった影も自分の身長と同じぐらいになり、よりいっそう肌寒くなってきたように感じる。  若者は空を見上げて、今日はここまでだな、と口ずさみ森林公園の出口に向かう。 「あ~あ。今日も変わらない日を過ごしてしまったな。終わってみれば一瞬の出来事のように感じるのは、いつもと同じことをやっているからなんだろうな」  若者は思う。一瞬の出来事のように思うのはその日が記憶に残らないことしかやっていないからだ。
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