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朝、俺が目覚めたのは床の上だった。言うまでもなく寝心地は最悪。おかげで体のあちこちが痛い。何故俺が床の上で寝ているのかと一瞬戸惑ったが、ベッドで小さな寝息をたてている少女を見て全てを思い出した。
どうやら、あのまま眠っていたらしい。よく毛布も無しで凍死しなかったもんだ。流石だな俺よ。
「へ、へっくしょん!」
流石の俺でも風邪をひいちまったらしい。
暖かい物でも沸かすか……いや、飯が先だな。ドタバタして昨日は晩飯を抜いちまったから俺の胃袋もさっきから食い物よこせと叫びっぱなしだ。
確かパンがあったはずだ。それに一昨日のシチューもまだ残っている。よしよし。
シチューの鍋を暖炉にぶら下げて、机の上にダイレクトで起きっぱなしの丸いパンにナイフを入れた。いや、入れようとした。
「か、硬っ!」
確かに固かった覚えはあるが、ナイフが入らないくらい固かった覚えはない。これじゃ食えないからパンは諦めよう……。
シチューを焦げないようにかき混ぜ、俺はふと、ベッドの少女に目をやった。
「それにしても……、やっぱり可愛いよなぁ」
暗くて良く解らなかったが、 俺が今まで見たどの女の子より可愛いと思う。いや、お世辞とか抜きで。
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