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「ほら、寝てないで椅子に座れよ。残念ながらパンはこの有り様だから食えんが」
少女は髪を揺らし頷くと、ゆっくりと体を起こして、椅子に座った。
「さて、色々と聞きたい事があるんだが、聞いてもいいか? あ、別に言いたくないなら答えなくてもいい」
「……」
「んじゃ一つ目。昨日、なんで俺に抱きついてきたんだ?」
「…………」
黙るって事は答えたくないと理解していいんだよな?
「答えたくないならいい。んじゃ二つ目だ。何処から来た? 見た所、ここら辺の人ゃなさそうだが……」
「…………」
「それも言えないか? なら三つ目。名前を教えてくれないか?」
「……私はリリア・アルトューク・ネイト」
長い名前だな。とてもじゃないが覚えられん。
「リリアって呼んでもいいか? いや……リリアさん?」
「リリアでいい」
「そうか。んじゃ次は俺だな。 俺の名前はハルト。覚えやすい名前だろ? ご覧の通り赤髪が特徴かな……あ、ハルト君とか、さんとか堅苦しいのはやめてハルトって呼んでくれ」
「わかった」
肝心な所が聞き出せなかったが、言いたくない事を無理に聞く必要はないだろ。名前だけ聞き出せただけ良しとしよう。
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