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気がつくと、リリアがシチューと俺を交互に見て妙にそわそわしている。
「あ、悪かったな。もう食っていいぞ。おかわりもあるから」
「いただきます」
俺が作ったものを他人に食わすのは初めてだな。俺は普通に美味いと思うが、実際の所どうなんだろうか。
「どうだ? 美味いか……?」
「こんなに美味しい物は食べた事がない」
「それは誉めすぎだと思うが……ありがとよ」
「おかわり」
「早っ!」
食べはじめて一分弱。シチューは皿の上から姿を消していた。見かけからは予想も出来ないタイムに俺はどぎまぎしながらシチューをよそる。
「お願いがある」
「大盛りか?」
「違う。私を此処にしばらく置いてほしい」
なんだそんな事か……ん? 今なんて言った?私を此処に置いてほしい? それってつまり……。
「此処に住むって事か?」
「……」
コクりと頷くリリア。
「いやいやいや! 借りにも男と女だし色々と問題が……」
「問題?」
そうですよね。ピュアだから分からないんですよね。頼みますから汚れきった俺をそんな純粋な目で見ないでくれ。
「わかった泊めてやる……」
根性なしと馬鹿にされても構わない。大体こんな寒空の下、女の子を追い出すような鬼畜な心を俺は持ち合わせてはいない。
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