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蒼くんが、束縛の意味を問うた
本当の意図が分かった。
例えば、実際に
その腕を鎖で繋いで
その足に枷をはめて
そうして全てを制限されても
『こんなの束縛じゃないよ』
だって、これ以上離れるなら
絡まる指も繋ぐ糸も
千切れてしまうしかない。
壊れても
あなたは離したくないんだね。
その糸に罪はない、と
信じたいから。
どんなに一宮が固く結んでも
あなたはきっと絡まりを解いて、
丁寧に丁寧に、解いて、
真っ直ぐ繋がるそれを
結ばなくても繋がるそれを
「見たいんだ…」
「え?」
一宮はゆっくりと顔を上げた。
俺を怪訝な目で見る。
「お前は…お前が思う以上に
…あの人に愛されているよ」
それは、儚いほどの柔らかさで。
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