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「なり」 静寂に落とされた声。 「蒼」 いつの間に起きて、 車を降りて佇む蒼くん。 一宮は直ぐ様、近付いて 腕をきゅっと掴んだ。 「きちゃった」 「うん」 一宮は蒼くんしか見ない。 「ひろくん」 「あ、はい」 蒼くんは笑いかける。 八重歯がチラリと見えた。 「あんがと」 「や、うん」 「おやすみ」 「今まで、おやすみだったけどね」 「ふふ、ごめんねぇ」 反省の無いふんにゃり笑いに 直させる気の無い俺も笑い返す。 「おやすみ、蒼くん」 「気をつけてねぇ」 ぷらぷら手を振る彼をも一度見て 一宮の視線にぶつかった。 「一宮も、おやすみ」 俺の言葉に彼は頷いた。 乗り込んだ車で夜道を走り出す。 真っ直ぐな道の向こう、 空は雲の流れが速くて。 切れ間に星が顔を出した。 柔らかい、青の光。 歌うように、瞬く。 星の名は、知らない。 .
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