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ふわり。
花の香りがした。
目を開いたら
明け方の薄明かりと、
ふわふわとした感触の、何か。
そして、温もり。
俺に寄りかかってる。
「……え」
起き上がれば、ずり落ちる。
「わ…」
慌てて抱きかかえた。
ひやりと冷えた身体。
当たり前だよ冬なんだから。
「蒼」
被ってた毛布で包んで
その上から抱き締めた。
「蒼」
寝息の音に、
たまらなく涙があふれてきた。
「蒼」
どうして?
どうして、此処に居るの?
「そう、そう…」
こんな寒いのに
寝てる俺を起こすわけでもなく、
ただ
こうして寄りかかって。
どうして?
「どうして?」
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