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「一緒のときはそばにいて」 泣いてるみたいな か細い声が、背骨を走った。 広い、セミダブルのシーツの海に 一人で目覚めたあなたが浮かんで 「ごめん…ごめんなさい」 そんなの平気な人だって 勝手に決めつけてた。 なんにも思わなかった。 「居るから…絶対、傍に居るから」 折れそうなくらい あなたを強く抱きしめて 冷たい唇に何度もキスをした。 取りはぐれた何かが 手のひらを掠めて消えてゆく。 あなたの愛は透明で 空から降る霧雨のような 漂う空気に混ざっていて 見つけるのは困難で 見分けるのは不可能 でも、 でも、 掠める何か。 柔らかいところを擦って、 痺れる感触。 儚い。 拙い。 だけど、 確かにあるなら。 ………信ジ、タイ…。 .
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