146

4/16
前へ
/101ページ
次へ
コツコツ、と窓が鳴った。 「あれ?蒼くん」 ガチャリとドアが開いて 彼が悲しそうな顔でぽつりと 「船だせねぇって」 「風強いからね」 「ひろくんまだ居たんだね」 「うん…荷物後ろ入れな?」 「…うん」 ほどなくして、彼が横に座った。 「残念だったね…」 「はろー注意報だって」 「海だと余計、風が強いから」 「天気いーのに」 横の人はぶーだれてる。 その尖らせた唇ツマみたいなぁ。 「どうする?帰る?」 「んぅ~」 「明日も撮影なんでしょ?」 「…うん」 彼はしばらく考えて、 「なり…の家でもい?」 遠慮がちに訊いてきた。 「いーけど…」 複雑。 也って呼ぶ彼にも慣れない。 ちょっと知らない蒼くんだから。 .
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

913人が本棚に入れています
本棚に追加