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「ねぇ、蒼くん」
車を発進させないで
夜の海に目線を向けた。
風の音は聞こえないけど
確かに海は荒れてるみたいだ。
「ん?」
「束縛されてない?」
「ん?」
「そ・く・ば・く」
一度聞こえないフリした彼に
ちょっとジレて強く返した。
「ん~」
「釣り、許可制なんでしょ?」
「うん」
「あなた守ってないけどね」
「うふふ」
いや、笑い事なのか…?
つい彼を見つめてしまう。
「いいの?」
「なにが?」
「束縛」
「そくばく…」
蒼くんはゆったりと笑う。
「…って、何?」
綺麗だけど…、
得体の知れない人が
そこには居ました。
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