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「…何だろうね」 「ね」 あなたは声も立てずに笑う。 空気だけを震わして。 あなたは綺麗になっていく。 それはあなたの 狂気が魅せてるのかも知れない。 きっとあなたは そんな風に愛してるんだ。 綺麗な指が前髪をはらう。 自由であることに 縛られなくなって なのに、あなたは 一宮に縛られてる。 一宮に縛られてる? 足枷も、繋ぐ鎖もない 心は羽ばたいて …益々、あなたは手に負えない。 「こんなの束縛じゃないよ」 蠱惑を纏って囁く声。 もっと… そんな、掠れた声に肌が粟立つ。 「がんじがらめにしたらいいのに」 全く、手に負えない。 でも困ったことに俺は 未だにそんなあなたが好き。 「蒼くん」 「ん?」 「…そんな束縛は、した方が …何処にも行けなくなるよ」 そんなこと、きっと… 絶対、あなたは知ってる。 .
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