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「…うん、そうだね」
助手席に投げ出された肢体は
星明かりに青白く光る。
奥底の感情を垣間見せたあなた。
その手首に鎖を這わせて
その足首に枷を嵌めて、
そうして刹那を求めたいと
それはある意味、永遠だ。
そんなあなたに、
心を捧げるということだから。
「ね」
「…え?」
あなたはくすくすと笑う。
「ひろくん、やっぱりオレは
…いちをダメにするんだよ」
あなたは綺麗すぎるから。
惑わせてるかも知れないね。
「…大丈夫だよ」
「ふん?」
「あなた極端だけどさ」
「ふふ…きょくたん」
相変わらず
彼の笑いのツボは分からない。
「分かってるから大丈夫だよ」
「…だいじょーぶ…?」
ちらりと揺れた目に
あなたの不安定さを知った。
「もしも、異変を察知したら…
父ちゃんが何とかいたします」
俺がそう言えば蒼くんは
やっと、声を立てて笑った。
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