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「山田くん…君は、明日から来なくていい。すまないな。」
人気の無い社内、残業終わりのサラリーマンに告げられたのは、急過ぎるリストラ宣告であった。
「え?どういう事ですか…どういう事ですか!!」
この山田と言う男、入社15年の社員であり、会社の為にせっせと働居てきたが、年々悪化する不景気によりリストラされたのだ。
独身である。
山田は上司の肩を揺さ振り、叫び出したが、上司は山田の手を振り払い一喝した。
「君は…クビだよ!!」
そう強く吐き捨てると、山田に背を向け、そそくさと消えていった。
山田はその場にへたり込み、力なく呟いた。
「なんてこった…。」
山田は重い腰を持ち上げふらふらと歩き、薄暗い廊下の闇に消えていった。
パチ…
山田は帰宅し、リビングのソファーに崩れ落ちた、そして通帳を取り出し、貯金の金額を確認した。
残高
50,100
山田はそれを見ると溜め息をついた。
山田の心にいいようのない怒りが込み上げ、歯を食い縛った山田の顔はプルプルと震えだした。
が、仕事一筋の独身男の心は脆く、怒りを通り越し、顔から力が無くなった。
山田は髪を掻き上げた。
ボサボサになった髪、緩んだネクタイ、山田は放心状態のまま外出した。
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