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「それで、見て頂きたいものとは?」
綾部が問い掛けると若林が持っていた鞄から真っ白な封筒を取り出してみせた。
「これは?」
「読んでみてください」
若林の言葉に綾部はその封筒の中から一枚の手紙を取り出して読んでいく。
“東に背を向けた武士が最初の者を斬るときの、殺人者が徘徊する日の次の日に、あなたに漆黒の歌詞を届けます。貴方の愛人、春日より”
手紙に書かれていたのはその一文だけだった。
「これは、暗号ですかね?まさか殺人予告とかじゃないですよねえ…?」
中身を覗きこみながら言った又吉の隣で若林が声をあげた。
「あの…先生、この手紙の内容を解読してもらえないでしょうか?」
真剣な表情で言う若林に対して優しげな笑顔で返す綾部。
「分かりました、我々が必ず解読してみせます」
「本当ですか!ありがとうございます」
若林の表情には安堵の笑顔が浮かんでいた。
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