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なにかが崩壊したように罪の意識が吹き出した。
ひどい吐き気が襲ってきた。
立っていられなくなり、膝から崩れ落ちる。
心配したお袋が、俺の腕を取った。「 」
大丈夫? 読唇術で読み取る。
違うんだよ。俺のせいなんだよ。これは全部俺のせいなんだよ。
普段ならこんなときは泣くんだろうか。泣きじゃくるんだろうか。
俺は泣けなかった。涙が流れる気配すらなかった。
どうしようもない罪の意識と不安が心を埋め尽くし、悲しいなんて感じる隙間がなかった。
「 」
こんなつもりじゃなかった。
「 」
こんな意味じゃなかった。
自分に向けて他人に向けて。そしてゴミ箱に向かって唇を動かす。紡ぐ道具は無い。
『一度棄てたものを二度と拾うことができません』
あのとき簡単に読んでしまった注意書きが、今になって重くのしかかる。
背中に温度を感じた。お袋が俺の背中で泣いていた。
お袋の重さがさらに加わり、俺を押し潰す。
どうする
空っぽの俺の中を、その四文字をぐるぐる回っていた。
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