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声を出さない俺を見て、お袋が肩から手を話した。俺も出ないものとわかってくれたらしい。俺の隣に座り、両手で顔を覆った。
俺のせいだ。
両手の上でゴミ箱が踊る。このまま握りつぶしたくなった。プラスチック製らしいから簡単に壊れるはずだ。
手のひらで押せば簡単にきしんだ。だが、なにが起こるかわからないからほんとには壊せない。
ゴミ箱をベッドに投げ捨て、お袋の肩に手をおいた。なにも分からないお袋と違って、俺は原因がわかっている。早く落ち着きを取り戻せた。
とりあえず、どうにかして伝えないと。
信じてもらえないかもしれないけど、このゴミ箱が原因なんだって。
俺は立ち上がり、机の引き出しを開けた。なにも書いてないルーズリーフを一枚取り出す。それにシャーペンも。
声がないなら、筆談を会話のかわりにすればいいのだ。
俺の考えに気づいたのか、お袋が隣に来た。無理やり微笑む。
まずは、俺がこの状況を引き起こしたってことを書かなくてはいけない。長くなるかもしれないが、ちゃんと伝えよう。
深く息を吸って、芯をルーズリーフにつけた。
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