ゆめわたり。

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
空に瞬く稲妻を見ていた。 激しい雨に打たれるのも構わずに、 外に飛び出したら君がいて。 「寒いから」 そう言ってぼくを抱き締めた。   君に好きな人がいると聞いて、 半ば諦めていたんだ。 君への恋を失っていく人が何人もいて、それなのに。 君はぼくを選んだ。 人目を気にせずに、雨の中。   君はぼくを選んだ。   雷雲が過ぎ去り、戻ろうかと歩き始めて。 指を絡めてきたのも君だった。 幸せに溶けそうで… もう、駄目かもしれない。   目が覚めて、夢だと知っても。 ぼくはとても幸せだった。 現実との差に切なく思いはしたけれど。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!