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空に瞬く稲妻を見ていた。
激しい雨に打たれるのも構わずに、
外に飛び出したら君がいて。
「寒いから」
そう言ってぼくを抱き締めた。
君に好きな人がいると聞いて、
半ば諦めていたんだ。
君への恋を失っていく人が何人もいて、それなのに。
君はぼくを選んだ。
人目を気にせずに、雨の中。
君はぼくを選んだ。
雷雲が過ぎ去り、戻ろうかと歩き始めて。
指を絡めてきたのも君だった。
幸せに溶けそうで…
もう、駄目かもしれない。
目が覚めて、夢だと知っても。
ぼくはとても幸せだった。
現実との差に切なく思いはしたけれど。
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