ピアノ

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「生きていたら、あなたと同じくらいになります。隣に座ってください。私のピアノを聞いてください。」私は、女の人の隣に座りました。 女の人は、両手を強く結ぶと、祈るように深く目を閉じました。 そして、さっきまで手は震えていたのに、まるで別人のように、スラスラとエリーゼのためにを弾きはじめました。 この曲は、私も好きでなんども聞いたことがあったけれど、こんなに美しく、切なく、きれいな曲なのかと思いました。 女の人は、ひとつも涙をこぼしませんでした。 真剣に、ただひたすらピアノと向き合って弾き続けました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加