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☆☆☆
ドォンッッバァァアァッッ!!!
俺と化け物はもう何度目かもわからない攻撃のぶつけ合いをする。
最初は互角だったのに少しずつ俺がおされてきている。
その理由はもう検討がついていた。
化け物のほうが持久力が高いのだ。
そのせいで俺のほうが早くバテている。
「ぐわぁぁっ!」
ついに化け物の攻撃をまともにくらって吹き飛ばされてしまう。
そのまま木にぶつかりそうだったので俺は衝撃に備える。
……………
だけどいつまでたっても衝撃はこなかった。
かわりになにか柔らかくていいにおいのする何かが俺を包み込む。
その何かは俺にこう言ってくる。
「ユーくんひとりだと勝てないですよ?」
俺はその声は幼くて頼りない、だけど優しい声だった。
「アイちゃんもいっしょにたたかうです。あのときみたいに守れるだけなんていやです。」
アイコはそこまで言うとジッと俺のほうを見てくる。
その目はとても綺麗で澄み切っていた。
だからわかる。
アイコの決意が。
「……俺が時間を稼ぐからあいつにできるだけ強い魔法をぶちかましてくれ」
「はいです!」
俺はアイコを守ろうと必死に闘っていた。
でもそれはただのお節介だったみたいだ。
アイコはもう5年前とはちがう。
アイコはもう………
守られるだけの人じゃない。
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