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電車の停車に揺られながら目を覚ましたのは、朔真由生(さくまゆうき)。癖っ毛の赤髪がトレードマークで顔は中性的な女だ。
そんな由生が見ていた夢で腑に落ちない事が一つ…大事な人の名前を言ったはずなのに、聞こえなかった。
「(…そりゃそーだよな。アイツを殺したのは…―――)
って、ん?」
このままシリアスになるかと思いきや、由生の視界に入ったのはなんとバズーカの銃口。
顔を引き吊らせながら目線をずらせば、栗色髪の青年・沖田総悟がさも当然と言った顔でバズーカを由生に向けていた。向けていたと行っても車両の中からではなく、電車の外側からである。
「…何しよーとしてんの、総悟」
「寝起きのドッキリでさァ」
「ドッキリっつーか、ビックリなんだけど。
そして何故ここに居るのかな」
「巡回ついでに休んでたら、電車ん中で寝てる由生を見掛けたから起こしに来たんでィ。
…ったく、感謝しろよな」
「わー、ありがとう。
…って言う訳無いでしょ。今まさにバズーカで撃とうとしてる相手にお礼言う人がどこに居る」
「目の前に」
「ウチ、Mじゃないから。
…はぁ。今降りるから待ってて」
今ここで沖田が撃てば確実に明日の日刊くらいに“真選組、またやった。一般市民に向けて砲撃。”と言った感じの見出しで報道されてしまう。
そー言う事である意味有名になりたくないからさっさと下車する事にした。
「…まぁ、そー警戒しないで下せェ。今日はちょっくら職務質問しに来たんでィ」
「職務質問、って…ウチしがない軽食屋だよ?
真選組に聞かれるよーなコトなんか、してないし」
「ま、立ち話も疲れるし…取り敢えず由生の家で茶菓子でも食いながら話しやしょう」
「…はぁー」
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