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他人事のように言って、男はあたしのダサい格好を上から下まで見回した。
あたしはどこ吹く風で、最後のナゲットを口に放り込んだ。ゴクリと飲み込み、口を開く。
「ていうか、一体どういう原理なの?」
「原理ってなにが」
「普通、その、悪魔祓いとかって……聖水で清めたり、エクソシスト? みたいな人にお祓いしてもらうもんじゃないの?」
こんな学生だの家族連れだのが多い場所で、どうかしたような話をするのは気が引ける。自然と口調がたどたどしくなり、声のトーンが落ちた。
「んー」
軽く眉を寄せて、男は考える素振りを見せる。シェイクのストローを指先でいじり、その指先を見つめた。
「俺にも原理はわかんねぇんだよ。ただ、そういうもんだって本能? みたいなもんがわかってるっつーか」
「本能?」
「そう。話によると、男の体の中に入った悪しき魂は、女の体に放出されることで浄化し、消えるんだって」
「浄化……」
「精子と一緒に吐き出されてさようなら、ってことじゃねーの」
「ちょっ、ばっ……!」
なんつーことを。悪魔祓いだのエクソシストだのより、さらにいかん。
「公共の場でそういうこと言うのはやめて」
「あ、悪い」
案外素直に謝られたので、あたしは何も言えず、とりあえず話を戻した。
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