今宵、悪魔の眠る城で

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  「そんで……その、あー、なに、……それは、ゴム有りでも大丈夫、なの?」  さらにさらに言葉が尻すぼみになる。周りの視線が痛い気がする。 「ダメ」 「ダメなの?」 「なんだかんだ言っても呪いみたいなもんだ。ごまかしや隔たりがあったら、多分うまくいかねーよ」  本格的に、あたしは頭を抱えた。不条理な行為を強要されたうえ、そんなことまで……。優介とだって、コンドーム無しでシたことなんてないのに。どうして。なんで。こんなのひどすぎる。 「おい、大丈夫か?」  ぐったりと伏したあたしに、男の心配そうな声がかかる。  ヤバい。しんどい。頭痛い。  すると、腕を引かれて立ち上がらせられる。 「帰るぞ。お前、その分だと今日は無理だろ。家まで送ってやるから、おとなしく帰れ」 「いやだ……」  男の手から逃れるように一歩退くと、奴はずいっとあたしの顔を覗き込んだ。 「早く優介を取り戻したい気持ちはわかるけどなぁ、俺に具合悪い女を襲う趣味はねーの。期限は一週間あるんだから、どうにかなるって。だから、今は休んでとっとと直せ」  珍しく嫌みのない、真摯な表情で言われて、あたしは逆らえなくなった。  なんなのよこいつ。わざわざ優介の体を乗っ取ったくせに、いやに追い出される(浄化される?)ことに肯定的なのね。もっと渋るかと思ったのに。  
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