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「次に会う時、君に言いたいことがあるんだ。来週の君の誕生日、空けといてくれる?」
そんなふうに前振りしては、「僕は君の誕生日にプロポーズします」って種明かししたようなものではないか。正面から彼の視線を受けながら、思った。
オチアイ ユウスケ
あたしと彼──落合 優介──は、もう付き合って3年になる。彼は26歳で、あたしは25歳。結婚を考えてもおかしくない年齢だ。最近ちらほら、そんな兆しをお互いの間に見始めていた。
しかも『君の誕生日に』なんて。クリスマスの次にベタだ。あたしはもちろん彼のためにその日を空けているし、彼もそれは承知しているはずだった。それなのに念を押すように『空けておいて』と頼むなんて、特別なことがあると言っているようなものじゃないか。
あたしはこっそり笑いそうになったけれど、彼があまりに真剣だったので「わかった」とだけ言った。なんだかんだ言いつつも、あたしは“プロポーズされるかもしれない”という予感にめちゃくちゃドキドキしていたし、こんな時でも嘘の吐けない素直で優しい優介を、あたしは死ぬほど好きだった。
なので、「楽しみにしてる」と笑い、彼の背中に手を回した。
──それが、先週の話。
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