過去の曖昧

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――ザザザザ―― いつもここで映像が途切れる。 そして必ず見る続き。 「しゅんちゃん、じゅんちゃん。 どこ行ったの? どこ行ったの?ママ。 しゅんちゃんとじゅんちゃん会いたい。」 母は眉間にシワを寄せたあと、 無理矢理の笑顔で 「しゅんちゃんとじゅんちゃんはお引っ越ししたの。」 ……? 幼い頃の私は分からなかった。 「お引っ越し?それなぁに?」 興味本意だったはずだ。 何かの遊びだと思った。 「遠くのお家に住むことよ。」 泣いた。大声で泣いた。 途切れ途切れの過去の記憶。 曖昧に覚えてる記憶。 これが私の初恋だった。
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