夢の中で……

5/5
前へ
/212ページ
次へ
妖精が呪文を唱え終えた途端、眩い光が辺りを強く照らした。 あまりにも眩しかったから、私は思わず目を閉じてしまった。 しかし、直ぐに光は消えた。 恐る恐る目を開けてみると、宇宙空間の中に居るみたいだった。 夢の輪廻を廻る廻る…!! 前方には妖精。 その後ろに私。妖精の後をついて行く。 突然妖精が止まった。 目の前には大きな扉が有る。扉の上の方に私の名前が彫られていた。 《波風幸》 『この扉の中の世界へ行った瞬間、貴方のチャレンジが始まります。目覚める方法は自分を見失わない事。………生きる希望』 妖精の言ってる意味が解らなかった。 でも、信じられなかったこの妖精。 今の私は信じていた。復活?未だあまり実感が無いけど、これが嘘な訳無い。 こんな手の込んだ嘘、誰もつかない。 だから、私は信じてみる。 未だ私は現実世界でやり残した事が有る。 少しでも延命出来る可能性が有るなら、それに賭けてみたい。 『私のナビは此処でひとまず終了。次会うのは、貴方が目覚めた時……』 妖精の姿が幻覚が解けるように、揺らいでいる。 私は必死に言った。 「貴方の名前を、今聞きたい。悪夢の中で希望にしたいから。貴方の名前は?」 『チェリーよ』 「ありがとう、チェリー。また会える時迄!」 私は懸命に声を張り上げ、叫んだ。 それがチェリーに届いているかは別として。 私は扉の方を向き、勢い良く扉を開け放った。 すると、またも眩い光に辺りが包まれた。 光の中に、1人の少女が見えた。 (あれは………私?)
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加