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「あ、おはようございま……す…?」
「……おはよう…ございます」
昨日受付をしてくれたお嬢さんにカウンターで挨拶を交わすが、何となく歯切れの悪いものだった
「あの……どうしたんですか、その目の下の隈」
「何でもありません」
「ですけど」
「これ、昨日の依頼の完遂証明です。報酬の方をお願いします」
そう言って、依頼主にサインをもらった証明書を取り出してカウンターに出し有無を言わせない
何やら聞きたげな彼女だったが、あまり深く追及してほしくないのが伝わったのかその証書を受け取り奥に下がって行った
「ふぅ、それにしても。眠い……」
「マァ、今回ばかりハ俺サマも同情してヤル」
結局あの後フィーナさんの説得され、この村に滞在する間は彼女の家に泊ることになった
なんというか一見貞淑に見えるけど、助けてくれた相手とはいえそうあまり知らない男性と同じ屋根の下で寝るのはどうかと思う
まぁ、俺の事をそれだけ信頼しているのだと解釈しておこう
「おうおう、こんなところで何してんだ新人?」
………………………無視しよう
「ナビ、なんか良さそうな依頼がないか見てきてくれ」
「あイアイさ~」
「頼む、俺は少しここで寝てるかr」
「ごぉらぁ!無視してんじゃねぇぞおおお!!!」
「クッソ、こっちは寝不足なうえ低血圧で朝は弱いんだ。大きな声だしてんじゃねぇよゴリラが」
「ああ?ごりら?なんだそりゃ?」
ああ、こっちの世界には存在しないんだっけ?
「で?どうだ?テメーにあの依頼ができたのか?できるわけねーよな!」
無駄にデカイその巨体を大きくふるわせ、汚い唾をまき散らしながら笑うそいつ
ほんとにウゼェ
そんなところにちょうどいいタイミングなのか、先ほど奥に行ってしまった受付嬢が戻ってきた
「あ、キョウスケさんで合ってますね?今依頼主と確認ができました。こちらが昨日の依頼の成功報酬です」
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