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シルクハットはくつくつと笑いながらひらりと回って、目の前に着地。
近くに立たれると分かる。
体格は冬矢と比べれば随分と華奢なうえ、身長も私より少し高いかどうかくらいで、本当に男だか女だか分からなかった。
純粋に腕で戦えば冬矢が勝つだろう。
でも、シルクハットは異界人。
どんな隠し弾を持っているか、分かったもんじゃない。
「ほら、聞きたいことがあるんだろう? 女子高生観察を中断して君達に時間を割いてるんだから。それともこちらから質問していいのかな?」
「じょ……って。変態かよ」
「褒め言葉をありがとう」
変な人だなぁ……。
いや、人かどうかは分からないけれど、便宜的に。
私達が警戒を解かずに黙っているからか、シルクハットは続けてこう言った。
「仕事の内容はシークレットだよ。僕が見えるということは、『末裔』だろう? 末裔だけには絶対に教えられない」
「私、違う……」
「ありす! 黙っとけっ」
そういえば……なんで見えるんだろう。
一応は聖職者の血を継いでるからなのかな?
異界のことは何も知らないのに、関与しちゃって大丈夫なんだろうか……?
そんな不安が、半紙に間違えて零した墨汁みたいに、じわりじわりと滲んでくる。
私の胸中とは裏腹に、シルクハットは嬉しそうに目を細めて私を見た。
「ほう、そっちの野蛮くんと可愛いお嬢さんは違うのかい。あと3センチくらいスカートが短いと僕としてはもっと嬉しいんだけどね」
見た目は綺麗なのに、発言がセクハラ親父と大差ない……どう反応したらいいの?
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