神崎ありす、16歳です。

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  シルクハットはくつくつと笑いながらひらりと回って、目の前に着地。 近くに立たれると分かる。 体格は冬矢と比べれば随分と華奢なうえ、身長も私より少し高いかどうかくらいで、本当に男だか女だか分からなかった。 純粋に腕で戦えば冬矢が勝つだろう。 でも、シルクハットは異界人。 どんな隠し弾を持っているか、分かったもんじゃない。 「ほら、聞きたいことがあるんだろう? 女子高生観察を中断して君達に時間を割いてるんだから。それともこちらから質問していいのかな?」 「じょ……って。変態かよ」 「褒め言葉をありがとう」 変な人だなぁ……。 いや、人かどうかは分からないけれど、便宜的に。 私達が警戒を解かずに黙っているからか、シルクハットは続けてこう言った。 「仕事の内容はシークレットだよ。僕が見えるということは、『末裔』だろう? 末裔だけには絶対に教えられない」 「私、違う……」 「ありす! 黙っとけっ」 そういえば……なんで見えるんだろう。 一応は聖職者の血を継いでるからなのかな? 異界のことは何も知らないのに、関与しちゃって大丈夫なんだろうか……? そんな不安が、半紙に間違えて零した墨汁みたいに、じわりじわりと滲んでくる。 私の胸中とは裏腹に、シルクハットは嬉しそうに目を細めて私を見た。 「ほう、そっちの野蛮くんと可愛いお嬢さんは違うのかい。あと3センチくらいスカートが短いと僕としてはもっと嬉しいんだけどね」 見た目は綺麗なのに、発言がセクハラ親父と大差ない……どう反応したらいいの?  
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