神崎ありす、16歳です。

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  どう答えたものか、私が言葉に詰まっていると、シルクハットはにっこり笑って首を傾げた。 「質問がないならこの空間から出て、僕は『仕事』に戻ろうかと思うけど?」 また、虚空からぽんっとステッキが現れる。 この魔法みたいな力を使うのに、あれが必要なのかもしれない。 そもそもステッキを虚空から出し入れするのだって、既に魔法みたいなものだけれど。   「ちょっと待てよ。何しに来たんだ、てめぇ」 冬矢が敵意剥き出しの声を放つ。 うさ耳はステッキをとんっと床につき、右手はその上、左手でシルクハットをくいっと軽く上げた。 「末裔にはシークレット。そう言っただろう?」 「ふざけんな、答えになってねえっ!」 冬矢が吠えるが、シルクハットは楽しげな笑顔を崩さない。 ひょいとステッキを持ち上げ上に放ると、刹那、ステッキは虚空に消えた。 「どうしてもって言うなら……そっちのお嬢さんにだけは教えてあげてもいいよ」 そう言ってすっと右手を差し出してくる。 シルクハットの視線は、私に注がれていた。 私だけ、来いってこと。 「……っ」 不安から反射的に見上げると、冬矢は黙って私の肩を抱いていた力を緩めた。 安心できる理由かどうかだけ、確認できたらいいよね……。 怖いけれど、何かあったらきっと冬矢がどうにかしてくれる。 震える足で一歩ずつ近付いた。 差し出されたその手を取ろうとした瞬間……辺りがまばゆい光に包まれる。 「……ありゃ?」 シルクハットの間抜けな声が聞こえた。 え、何っ……私、嵌められたの!?  
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