神崎ありす、16歳です。

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  それっきり無言のまま、集中して部活は終了。 道具の片付けに入っても、会話はない。 「……お疲れ様でした」 ぺこりとお辞儀して、戸賀崎くんは教室から出ていった。 彼自身かなりの集中力の持ち主なのか、準備片付け含めて全ての行動や作業が早い。 私はまだのんびり片付け中。 始めは会話が無いのが気まずく感じられたが、今はもう慣れた。 今日だって、三言しか聞いてないよね。 片付けを終えて教室のロッカーに書道用具を置くと、下駄箱へ。 戸賀崎くんはいつもさっさと帰っちゃうから、一人。 でも、ちょっと待っていれば冬矢が来る。 私はいつも、冬矢と一緒に登下校してるんだ。 あんまりにも一緒にいるから、たまに仲を疑われるけど……。 近すぎて、冬矢とはそんなんじゃない。 もう兄弟みたいな感じ。 って話をすると、今度は『どっちが上か』で揉めるんだけどね。 絶対私のほうがお姉ちゃんだと思う。 だって今日だって、完全に私の方が『弟を世話するお姉ちゃん』だったでしょ? でも冬矢には自覚が無いから、それを言っても糠に釘、って感じなんだよねぇ。 「あーりすっ」 私が待っているのも、冬矢にとって当たり前。 まずはひょこっと覗きこんできて、そのまま隣に並び、いつも通りの自然な歩調で二人で歩きだす。 「お疲れ様。怒られなかった?」 「おう。俺の駿足が火を噴いた……ってとこだな」 ……得意そうに言うけど、私が起こしてあげたからじゃん。 そのドヤ顔が恨めしくて、脇腹に肘を突き刺した。  
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