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今日は学校の体育館で授業のバスケットの試合中。あまり走るのは好きじゃないけど、こうやってみんなで協力しながら競うスポーツは好きだったりする。
そしてあたしは今、ボールを持って相手側のゴールの目の前にいる。いつも可愛い笑顔をしてる女の子達も、今は怖い顔だ。
体育館にはハゲたオッサン先生と、あたしら女子だけ。ココで可愛くしたってなんの利益もないからか。
女の子ってなんだかんだ怖いよ、本当。この前だってクラスで彼氏盗られただとかで、大騒ぎしてたよな。盗るのは怪盗ロワイヤルだけにしなよ。
まァ、あたしも近くに王子様がいない限りは、乙女完全に捨てちゃうけどね。あー、白馬の王子様が現れないかなー。
「未緒!」
不意にクラスメートの声が聞こえたと思ったら、いきなり背中を強く押される感覚がした。背中を中心にバランスが崩れて身体が床に倒れる。体育館中に倒れた音が大きく響いた。
うわー、恥ずかしい。体育中に考え事なんかするもんじゃないね。
「大丈夫!?」
先生の笛が鳴らされて試合が一旦中断されると、心配そうにそう言いながら、あたしの元へ友人の湯口 沙希(ゆぐち さき)が駆け寄ってきた。
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