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「乃亜が生まれる三日前。我々バンパイアの王――“始祖”は忽然と姿を消した。直ぐにその行方を追ったが、未だ手掛かりすら得られていない」
夜斗が事務的に事の起こりから淡々と話すのを、あたしは人事のように聞く。
始祖があたしの生まれる三日前に居なくなった?
というか、始祖って……つまりバンパイアの産みの親みたいな存在って事だよね。
その人、一体幾つなの?
あまりにも突拍子のない話に、現実感が湧かず、ぼんやりと考える。
「我々は常に怜と王女殿の行動は監視していた。共に故郷を捨て、人間界で暮らす身。問題が起きてからじゃ遅いからな。そして始祖が姿を消し、程なく乃亜が生まれた。この因果関係に何かあるのではと、我々は睨んでいた時……」
夜斗は一旦言葉を切り、ママの方を見遣る。
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