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「だが奴に対抗出来る者が他に居ない事も確かだろう」
夜斗が纏う空気が張り詰めるのを隣で感じる。
「一軍を人間界へ送り込めるのならばいいが、協定がそれを阻んでいるのは怜も承知しているだろ?」
夜斗が口にした“協定”は、前にパパから聞いた、大昔の戦争の後に結ばれた物なんだろうと推測する。
その詳しい内容までは聞いていないけど、あたしには図り知れない。
「そこで怜と、出来れば王女殿の力を借りたい。俺一人では乃亜を守り切れない」
「もちろん、我々もそのつもりだ」
パパは強く頷く。
続いてママも頷いた。
「夜斗、今日はこれで帰ってくれないか? 急なことで乃亜も混乱しているだろうし」
「……分かった」
夜斗はちらりとあたしに視線を向けるが、どうしていいのか分からず俯いた。
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