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歩きながら闇夜は思い出す。11歳の時の記憶。
ばあちゃんとの会話の記憶。
「ばあちゃん、何で戦争は始まったの」
闇夜は聞いた。
「光の王が、闇の女王を怒らせてしまったんだ」
祖母は一番簡単でわかりやすい言葉を使って教えてくれた。
「それは何で?」
「さあ、何でかね」
戦争の目的は、誰も知らない。人々は目的も分からないまま闘っているのだ。
「光と闇があるから世界はあるのにねぇ」
そうやって呟くばあちゃんは、光も闇もどっちも愛してたから、きっとすごく辛かったはずだ。
だけど、ばあちゃんが死んで光も闇も届かない場所に逝ってしまってからも、戦争はより激しくなるばかり。
それぞれの王の姿さえ知らずに殺し合う。
「早く、終わらせねぇとな~」闇夜は夕焼け空を遥かに見通した。
このキレーな世界が壊れる前に。光輝とやり合う前に。
それから闇夜は枝の広い手頃な樹を見つけると、下にテントを張った。
すでに一番星が出ている。
「腹減った~」
明日の昼には第4都市に着くかな。
闇夜はさっさと夕食を済ませて眠りについた。
夢に見たのはただ、ただ平和な世界。
これから自分がどんな状況に置かれるかなど、何も知らずに…。
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